LINE公式アカウントの構築提案に「AI返信」という選択肢を加える
2026/03/27 06:17 公開
2026/04/08 22:57 更新
MAツールの自動応答が「得意なこと」と「苦手なこと」
LINE公式アカウントの運用を支えるMAツール——Lステップ、エルメ、UTAGEなど——はいずれも、シナリオ配信やキーワード応答といった自動化機能を備えています。予約案内、料金の説明、よくある質問への返答。あらかじめ設計した範囲内の問い合わせには正確に対応できます。
一方で、これらのツールには共通の構造的な制約があります。シナリオやキーワードに該当しない自由入力テキストに対しては、自動で返信できないという点です。
「このメニュー、アレルギー対応できますか?」「駐車場は予約なしでも使えますか?」——こうしたシナリオ外の質問が届いた場合、自動応答は沈黙するか、「担当者が確認して折り返します」といった定型文を返すしかありません。その後スタッフが手動で対応するわけですが、気づくのが翌日になることもあり、ユーザーがすでに離脱しているケースは珍しくありません。
これはMAツールの欠陥ではなく、ルールベースの自動応答が持つ構造上の特性です。設計した通りに正確に動くことが強みである以上、設計していないパターンには対応できないのは当然とも言えます。
AIが補えるのは「想定外の質問への即時応答」
ここで注目されているのが、大規模言語モデル(LLM)を使ったAI返信です。ChatGPTに代表されるLLMは、事前にキーワードやシナリオを登録しなくても、自然文の質問に対して文脈を踏まえた返答を生成できます。
つまり、MAツールの自動応答とAI返信は得意領域が異なります。
| MAツールの自動応答 | AI返信 | |
|---|---|---|
| 定型的な問い合わせ(予約・料金・営業時間) | 正確に対応できる | 対応可能だが、誤った情報を返すリスクがある |
| 想定外の自由入力テキスト | 対応できない | 文脈に応じた返答を生成できる |
| 動作の安定性 | 設計通りに確実に動く | 回答の質にばらつきが出る場合がある |
この特性の違いから、MAツールの自動応答を軸にしつつ、カバーできない領域をAI返信で補完するという組み合わせが考えられます。
「ハイブリッド構成」の仕組み
具体的には、LINE公式アカウントに届いたメッセージを、MAツールとAI返信の仕組み(Zapier + ChatGPTなど)の両方に同時に届ける構成です。
MAツール側でキーワードやシナリオにマッチした場合はMAツールが返信し、マッチしなかった場合にAI側が返信する。この住み分けにより、二重に返信してしまう事態を避けられます。
技術的なポイントは、LINE公式アカウントのWebhook送信先が通常1つしか設定できないという制約です。MAツールにWebhookを向けている状態で、AI返信の仕組みにも同じメッセージを届けるには、間に中継サービスを挟んで送信先を分岐させる必要があります。
L-Proxyはこの中継を行うサービスで、Webhook送信先を最大3つまで設定できます。MAツール側の設定を一切変更せずにAI返信を追加できるため、既存の構築を壊すリスクがありません。月額980円から利用でき、14日間の無料トライアルも用意されています。
構築代行としての提案にどう組み込めるか
この構成を提案メニューに加えると、クライアントへの提案書に「想定外の質問にもAIが24時間自動対応する仕組みの構築」という項目を追加できるようになります。
従来のMAツール構築——リッチメニュー設計、ステップ配信シナリオ、タグ管理——に加えて、AIの応答内容を設定する工程(ナレッジの登録、返答トーンの調整、テスト運用)が提案範囲に加わる形です。
また、AI返信は運用開始後も応答精度のチューニングが必要になるため、月額の運用保守メニューに含められる性質のものです。構築して終わりではなく、継続的な改善提案につなげやすい特徴があります。
ただし、AI返信はすべてのクライアントに適しているわけではありません。問い合わせの大半がシナリオ内で完結しているケースや、誤回答が許容されない業種(医療・法律など)では、導入の優先度は下がります。クライアントの業種や問い合わせ傾向を見て、提案すべきかどうかを判断する必要があります。
まとめ
MAツールの自動応答は、設計した範囲内で正確に動くことが最大の強みです。AI返信はその外側——シナリオに該当しない自由入力——を補完する役割を担えます。
この2つを組み合わせた「ハイブリッド構成」は、構築代行にとって提案の選択肢を一つ増やすものです。すべての案件に当てはまるわけではありませんが、「クライアントのLINE運用で取りこぼしが発生している」という課題が見えたとき、提案の引き出しとして持っておく価値はあるはずです。
まずは自分の検証用アカウントで、MAツールとAI返信の併用を試してみてください。
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